横浜地方裁判所 昭和40年(ワ)662号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕原告が昭和二九年八月一五日訴外田辺半太の死によつて同人所有の畑地を相続し、その後右畑地が分筆され、その一の土地すなわち本件土地が登記官の職権によつて昭和三六年一〇月八日地目が宅地となり、その旨登記が昭和三七年八月二三日なされたこと、被告が本件土地上に本件建物を所有して土地を占有している以上の事実は当事者間に争いがない。
<証拠>によれば原告より畑地を売渡す代理権を与えられていた訴外岩崎は、昭和三三年七、八月頃訴外後藤との間で畑地につき売買契約をしたこと、訴外後藤は昭和三五年一月頃畑地を訴外高橋に売却したことは、本件土地につき昭和三七年七月二七日訴外高橋と被告間に代金一二八万円の売買が成立したこと、以上の各事実を認めることができる。
右認定の原告と訴外後藤、同訴外人と訴外高橋間の各売買は、その目的物が農地であるから、農地法により知事の許可を要するところ、その許可をえていないことは被告の自認するところである。しかして右許可は法定条件であるからそれがない以上、前記売買で畑地の所有権移転の効果を生じないが、しかしその契約は、許可があるとその時から効力を生ずる浮動的なものとして存続するものと解する。ところで右各契約は、畑地から分筆された本件土地が登記官の職権により昭和三六年一〇月八日地目が宅地に変換された(特段の事情存在が認められないから、当時本件土地は現実にも宅地であつたと推認する)とき、農地法の適用を受けなくなつたから、このとき以降その効力を生じ、もつて所有権は原告より訴外後藤、同訴外人より訴外高橋へ順次移転し、さらに訴外高橋と被告間に成立した昭和三七年七月二七日の売買によつて被告の所有になつたものと解すべきである。(石橋三二)